薬なんかいらないよ
ピッピッピッ・・・と鳴り出す目覚まし時計を止める。
明るくなっている窓の外を眺めると
いつもと同じはずの朝に嬉しさを感じ、
は頬を緩めた。
(うん、うん、いい天気だね!)
買ったばかりの真新しい黒のトップに白色のショートズボンを身に着ける。
身支度を整えて家を出ると押し寄せてくる暑さが夏を感じさせる。
照り付くような暑さの中
は待ち合わせ場所とされる駅前に向かった。
駅前に着くと時計の針は9時45分を指していて
指定された時間には15分も余裕があった。
そわそわと落ち着かない
の前を幾人もの人が通り過ぎていく・・・
待ち遠しくて何度も何度も時計を確認し
刻々と近づいてくる約束の時間に次第に
の鼓動を加速さしていった。
そんな中、一台の黒い車がゆっくりと
の前に停車する。
「よぉ、早いな。もしかして待たせちまったか?」
掛けられた声に顔を向けると愛しい人の姿が目に入る。
緊張して、あまりにも大きく鳴り響く心臓の音を聞かれはしないだろうか、と
内心焦りつつ、
は微笑んだ。
「ううん、ちょっと私が来るのが早かったの」
楽しみだったからね、っとことばを続ける
の元にドライバー、中里 毅が降り立って言った。
「お前、顔色悪いんじゃないのか?・・・真っ赤だぜ」
そのことばに自分の頬に手を当てると少し熱っぽい。
「あははっ、今日暑いもん。きっとそのせいだね。」
心配そうな中里に平気だよっと笑って言う
の頬に、そっと手が当てられる
「毅?!大丈夫だよ、私!」
少しずつ中里の顔が近づいていき
は更に赤くなって目を閉じる。
「なっ?!ばっか、お前、熱あんじゃねぇか!!」
「そんなわけないじゃん!心配しすぎだよ!」
そう反論しはするものの、どんどんと呼吸は早く浅くなっていき
心臓の音も加速をましてゆく・・・
朦朧としていく意識の中で中里が呼ぶ声だけが
に届いた。
力が抜けた人形のように横たわる
を俗に言う、お姫様抱っこで32に乗せ。
中里は必死になって
の家まで愛車を走らせた。
合鍵でドアを開け素早くベットに
を寝かせると、中里はある場所に向かう為に扉を静かに閉め出て行った。
(あ、れ・・・?私の部屋・・・?)
目を覚まし起き上がろうとするが
は熱のせいか起き上がることが出来ない。
窓の外は既に薄暗く目覚まし時計の針は8時を回ってしまっていた。
不意に良い匂いがしてキッチンの方を見るとなにやら作っているらしい人の影が見える。
時間的にもグ〜〜っ、と鳴り出すお腹を押さえると
キッチンにいた中里がこちらにひょこっと顔を出した。
「起きたか?・・・腹は減ってるみてぇだし、もうちょっとで出来るからな」
そういって苦笑する中里はしばらくすると、お盆に小さめの土鍋をのせて
の近くに腰掛けた。
食欲のでる匂いが、まだ熱そうな土鍋から香る。
「うどん作ったんだけど、少しでもいいから食えよ?」
「・・・ありがとう」
土鍋のふたを開け、お椀にうどんを入れてくれている中里の背中にポツリと呟く。
早く治せよ?っと微笑ながらお椀とお箸を渡してくれる中里にもう一度ありがとうっというと
今度は髪を撫でられ、どう致しまして、と返ってくる。
暖かいうどんを口に頬張ると、まだそれは熱すぎて
口の中を火傷してしまうようだった。
「仕方ねぇな、ほら・・・」
今度は中里がフーフーッ、っと冷ましてから口に運んでくれる。
あまりにも美味しいその味に驚き、毅は料理がうまいんだねっと褒めると
そうか?っと少し嬉しそうな声が返ってくる。
うどんを全て食べさしてもらい、ごちそう様を言うと
中里は水と先程、買ってきたのであろう薬を持って寝室へと入ってきた。
「ほら、薬飲んで寝ろ。悪化させたらダメだしな」
薬とコップに入った水をベットサイドの机に置く
「イヤだ、薬嫌い!」
置かれたものを睨みつけ口を尖らして言う
が可愛いと思いつつ
断固と拒否する
に、やれやれといわんばかりに中里がベットサイドに座る。
「薬、ちゃんと飲まなきゃいけねぇだろ?」
子どもをなだめるように中里が言う。
「だって、薬いらないじゃん・・・
私にとっての薬は、毅だよぉ?」
ちょっと頬を赤らめ照れているように言った
が愛しいと思いつつ、許可することの出来ないお願いに中里は首を傾げた
すると、なにを思ったのか中里自身が口の中に薬を含み
驚く
に口づけて薬を流しこんだ・・・。
「毅・・・?」
薬を飲み込んだ後、頭をぐしゃぐしゃっと撫でられ
「おやすみ」
っと囁く中里の声で
は、眠りについた。
今頃、真っ赤になっている中里を思い浮かべて・・・。
あとがき
R「郁矢さま復活祭ということで、勝手に郁矢さまにお捧げ致します!!」
毅「・・・いきなりだな」
R「・・・捧げたかったんだもの」
毅「無理やりだな・・・」
R「うん!」
毅「しかもいつの話だよ?」
R「お、遅いよね・・・」
毅「そのうえ駄文ときたか」
R「・・・(雲行きが妖しいので撤退します!)」(脱兎)
毅「コラ!!・・・ったく、遅くなって悪かったな。
こんな駄文でよかったら郁矢のみ持ち帰り可能だぜ?」
R(メガホンで)「苦情はメール、感想はbbsでお願いします!!」