12370hit☆藍様からいただきました☆
真夜中は純潔・4(中里)


『あ、毅?僕、 だけど…今仕事中?』
「いや、今は昼休み。どうした?」
『あのね、今夜暇ある?』
「…行くのか?」
『うん、水曜だし仕事早く片付きそうだから』
「そうか…。俺も行く。時間わかったらメール入れるよ」
『わかったー。先に妙義行ってるね』
「ああ」

の口調に、特に気負った感じはなかった。
リベンジを賭けたビジターバトルが遂に今夜、白根で幕を開ける。



駐車場の中央に停められた純白のR32。ウィークデーの夜、交通量は少ない。
段々冷えていくエンジンの音を聞いている の手には、ルーツ リアルブレンド。
温かい缶を弄ぶように掌で包み込む。
時折目を伏せて「音」を探している。 と同じ、RB26DETTの咆哮を―

ぴくり、と の体が反応する。もうすぐ会える。闇色のR32を駆る毅に。
まだ少し濡れている髪が風になびいた。



2台のR32は白根山へ向かっていた。
長野県との県境に近い、志賀草津高原ルートを走る。
毅はバックミラーに視線を移す。
離れてはいるが、ついて来ている に少しほっとしていた。
何の前触れもなく が消えてしまいそうな―正体のない漠然とした不安が付きまとう。

手に入れた途端、それを失うことが怖くなる。



「なァ、あれってナイトキッズの32じゃないか?」
「ホントだ。黒の32は確か中里…だったよな」
「もう一台いる。後ろの白いのも32だぞ」
「白の32?誰だ?」
「見たことないよな。今日って何かあんのか?」



「ぅわ、さぶっ」
R32を降りた が首をすくめる。
駐車場に停められた車は2シーターのものが殆どだった。
カプチーノ、S2000、MR-S、AZ-1、スープラ、ロードスター、そして…緑色のFD3S。
"ヨソ者が来た"という露骨な視線が2台のR32とそのドライバーへ向けられる。

「あいつ、居るみたいだな」
「うん、やっぱ目立つねあの色」
は躊躇うことなくFDのドライバーの元へ歩を進める。

「こんばんは、東さん」
「―誰かと思ったら、妙義の姫君じゃないか。わざわざ白根に来るなんてどうしたんだ」
「僕の32と、ここでバトルしてほしい」
何の迷いもなく真っ直ぐ言い放った に駐車場がざわついた。
「成程、リベンジってわけか。血の気が多いのはEG6だけじゃなかったんだな」
「受けてくれる?」
「ココは俺達の地元だ。勝って当たり前だから本音を言うと遠慮したい。まァあんたの頼みなら受けるさ」
「ありがと。じゃあ、上り1本、よーいドンのスタートでどう?」
「いいだろう。…タカ、今走ってる奴らに連絡入れろ。すぐ始める」
「わかった」
タカと呼ばれたのはロードスターのドライバー。
にわかに騒がしくなる駐車場の中、 は毅を見上げた。

「ね、毅も慎吾達と箱根行ったときってこんな感じだった?」
「…ん?」
「すごくドキドキしてるんだけど、でも怖いんじゃないんだ。わくわくっていうか…
 ジェットコースター乗る前みたいな、スリル?…うーん、うまく言えないや」
「ああ、俺もそうだった。…この状況を楽しむ余裕があるんだろうな。
 …でも今は より俺の方が緊張してるぜ」
「ホント?」
「ほら、心臓すげえ早いだろ」
黒いコートの上からもはっきりとわかる程、毅の心臓は高鳴っている。

「…うん、すごい早い。ドキドキしてるね」
の笑顔に、毅もようやく少しだけ笑った。




「カウントいくぞ!」
ロードスターのドライバーが声を上げた。スタートの合図で振り下ろされた腕。
「32が後ろについたぞ」
「リュウの奴かなり飛ばしてんな」
「…あ、中里も出た」
バトルの結末を見届けようとして、2台の後ろを毅が追う。
以前秋名で毅とハチロクがバトルしたときの涼介と同じ、第三者の立場に立つつもりだ。
不安と期待の入り混じった表情で黒いR32がコーナーを抜ける。
助手席に置いた のダウンジャケットが視界の端を掠めた。



コースを走り慣れた地元のドライバーと、初めて走るビジターとでは勝負にならない。
「常識」から考えるなら、それは火を見るより明らかだ。



「うわ速ーい…やっぱロータリーはコーナリングマシンだな…」
自分でも気付かないうちに、 はFDのラインをコピーするように走っていた。
そしてそれが先行する東にプレッシャーを与えていることにも、勿論 は気付いていない。

(クソ、振り切れねぇ…!)

FDのバックミラーに映る白いR32は遠ざかるどころか近付いている。
そして隙あらば抜かんとするサイドバイサイドの攻防。
東の掌に冷や汗が滲んだ。

(妙義でやったときと全然違う…一体この短期間に何があったんだ…?)

彼は頻繁にバックミラーに視線を向ける。集中力が乱れてきている。
それに合わせFDの挙動が僅かに乱れた。
はFDのアンダーステアを見逃さずするりと追い抜く。


「な…っバカな!俺が地元で抜かれるなんて―」


ゴールまでコーナーは幾つもない。
追う立場から追われる立場になった は、側溝の上をショートカットしながらゴールを目指す。
バックミラーへ目を向けるようなことはしない。
白根のリズムを体に叩き込んだ にはもう判っていたのだ。
このコースを速く走る為のラインが何処に在るかが。




「―来るぞ!」
「どっちが前だ!?」
堕天メンバーがゴールで待ち構えている中、先に姿を現したのは の白いR32。
最後のコーナーを立ち上がりストレートに差し掛かった。
はアクセルを目一杯踏み込む。
ストップウォッチを止めるカチ、という音が聞こえたような気がした。



「リュウ…。ここでお前が負けるなんてどうしたんだよ」
「悪い。あの32、すげぇ速くなってる。妙義でやったときと桁違いだ」
「マジかよ…」
「ああ。何秒差だった?」
「12秒。…でもリュウもコースレコード更新したんだぜ」
「参ったな。―俺の完敗だ」
東は苦笑しながら に目を遣った。彼女は毅にわしわしと頭を撫でられている。


「やったな
「僕、勝ったの?」
「ああ。誰が見ても の勝ちだ」
「そっか…」
「どうした?」
「なんか実感湧かないや」
「今はそれでいい。…帰ろう」
「あ、ちょっと待って」
ダウンを羽織った が東の元へ駆け寄る。

「東さん、ありがとう」
にこりと笑った は右手を差し出した。
「また遊びに来てもいい?」
「ああ、勿論。またやろう」
思ったよりもしっかりと、 は彼の手を握り締めた。
「それから…」
彼は の耳元に唇を寄せてたった一言囁く。 は微笑って頷いた。





毅夢なのに「堕天」メンバーと対話して4話の後書きに代えます。

藍:ヒロイン、リベンジ成功です。ということで君達自己紹介を。
東:「堕天」リーダーの東隆弥(あずま・りゅうや)。雨宮仕様のFD3S。
帝:帝貴匡(みかど・たかまさ)。ハイライトシルバーメタリック。
藍:素っ気無さ過ぎだろ。タカに至っては色だけだし。しかも藍の記憶であやふやな。
東:大した設定もないのにこんなとこ呼ぶなよ。
帝:禿同。
藍:タカは2ちゃんねらということが発覚しました。

東:…彼女はどうしてあんなに速かったんだ?
藍:それはもう毅の愛の力としか言えないよね。ラヴです。
東:付き合ってるのか?
藍:うんv
東:そうか。残念だな。
藍:あんたp.2で「別に彼女をどうこうするつもりはない」って言ってんじゃん。
東:フン(邪笑)
藍:うっわ、ヤな感じ。…タカどこ行った?
帝:(5話の下書きを読みながら)ベッドシーンキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!
藍:エロじゃないっつーの!閲覧者の良い子達を誤解させないでよぅ!
東:次で最後なんだろ?
藍:あい。やっと完結です。ついて来てくだサイね!プッシャア!

☆感想☆
ヒロインさん初勝利!!
毅さんが第三者・・・キャッ!
落とし穴ですよ!!
落ちましたよ・・・
よく恋の天使さんはハートの矢なんか持ってますけど・・・
今、RAYの心臓に何本刺さってるかわかりませんよ!!
というより・・・バズーカー以上の威力ありですよ。
みごとにドッカーーーーンって感じですよ!!!
藍さま、ありがとうございます!!!(感泣)
ラスト楽しみです!!
一生おともしていたいです・・・(キラキラ)